yoshi-kansoのブログ

映画や小説、漫画に音楽など、その時に触れて感じた事を書いていこうと思います。

「台風家族」ネタバレあり感想

まず、台風家族とはどんな映画か。

両親が10年前に銀行強盗を犯す、奪った2000万円と共に両親は行方不明に。その事件により人生を歪められた四人兄弟が遺体のない形だけの葬儀の為に久しぶりに実家に集まる。兄弟は遺産にしか興味はなく、争いを始める。何故両親は銀行強盗を犯したのか、隠し続けてきた子供達への本当の思いとは、その全てが明らかになったとき、一つの台風が近付いていた。

 

面白かったです!
草彅さんは長男の鈴木小鉄。現在無職、実家の葬儀屋を手伝わされることに反発して運転免許もとらず、役者を目指して若い頃に家出。その後結婚して今回は妻と娘と帰省。
とにかくこの長男小鉄がお金に目がない奴で、一円でも多く欲しい為に仕事中に起こした交通事故での保険金を怪我が治ってるのに不正受給したり、自販機を使う老夫婦に目を付け取り忘れたお釣りを自分の物にしたり。もちろん遺産も一円でも多く取ろうと、付け焼き刃っぽい法律知識を駆使して兄弟を言いくるめようとしますが、あっさりと反撃にあう。
お金にがめつい様子は娘にもばれており「働いて金を稼げ」と一蹴され、とにかく情けない。

しかし、銀行強盗を犯した父親とこの長男はとにかく似たもの同士。粗暴で人に迷惑をかける事も多いものの、子供への愛情をどう表現していいのかわからず、それがまた誤解を招く始末。

長女(MEGUMI)、次男、三男(中村倫也)の兄弟もくせ者揃いで、本音でぶつかり合う喧嘩は迫力あり。
実はこの模様は今回の葬儀を開催した人物によりYouTubeで配信されており、怒り狂う兄弟の元に配信を見た人物が表れ「銀行強盗を犯した理由を知ってる」と申し出て、物語は一気にクライマックスへ向かいました。

とにかく、茹だるような夏の暑さが画面から伝わってきて、イライラするには十分という感じ。ここの家族がここまで壊れたのには決定的にトドメを刺した人物がいるわけではないのですが、みんながそれぞれに原因があって。もっと本音でぶつかっていれば最悪の状態は免れたとは思うけど、でもここまで壊れないとこの家族は再生することはできなかっただろうとも思いました。

草彅さんの演じるどうしようもない父親であり、長男の小鉄。こずるくて、情けなくて、クズで結構、と開き直る姿は本当に腹立つし、憐れみすら感じる。お金の為ならなりふり構わない姿勢には感心しますが。そこまでお金に執着するのは理由があるんですが、それを知ると「もっとやりようがあるだろうに」と思ってしまいました。

最初にも書きましたが小鉄が追いかけた夢と言うのが役者なんですが、芽が出なくても続けてたんですがある日すっぱり諦めてるんですね。役者時代の演技(ちょい役)が見られるシーンがあるんですが、それがちゃんと上手じゃない。役者草彅剛の演技を小鉄で存分に見せてる所に、役者小鉄としてのダメダメな演技をする草彅剛、すごかった。
草彅さんがテレビドラマ「まだ恋は始まらない」に出演した時に爪痕を残そうと、メイン演技の後ろで映る時に余計な動きを足して注意されたのを思い出しました。

それぞれの登場人物が置かれた状況に心が苦しくなりましたが、最後は明るい雰囲気で終わったので、後味は悪くありませんでした。
あらすじを読んで、とっても見たかった。いろいろあって、無理を通して公開するのも苦しいな、と思ってたのですが、見られてよかったです。

 

舞台挨拶でご本人を見た直後だったので、ちょっと不思議でした。あんなふわふわだった人と全然違う!と思ったり。いい経験出来ました。